2010年8月20日金曜日

庶民増税頼みに展望はない

主張

消費税“談合”

庶民増税頼みに展望はない


 菅直人政権が発足して初めての予算委員会が開かれています。
 質疑では、消費税や普天間基地問題など国政の焦点で、民主党政権と自公政権の違いがますます薄くなってきたことが浮き彫りになっています。
 谷垣禎一・自民党総裁の衆院予算委での質問では、自民党と民主党政権が消費税増税で“連合”する段取りの“談合”のようなやりとりになりました。

世論そっちのけで

 「これ(参院選)で懲りてしまい、(消費税増税が)取り上げられなくなったら不幸だ」と谷垣氏が助け舟を出すと、首相は「一歩も引くつもりはない」―。谷垣氏が自民党提案の消費税増税を含む「財政健全化責任法案」を審議し、互いの政策協議の場をつくろうともちかけると、首相は「前向きに検討する」と答えました。
 昨年の総選挙で国民は自公政権に退場を宣告しました。大企業・大資産家に減税を続ける一方で、庶民には増税と社会保障の負担増・給付減という自公政権の逆立ちした政治に対する怒りが込められた審判でした。さらに今回の参院選では「消費税10%」を宣言した菅民主党政権に厳しい審判が下っています。同時に、国民が自民党政権の復活を願っているのではないことも、選挙結果や世論調査で明らかです。
 大企業減税とあわせて消費税の大幅増税を掲げている二大政党が世論そっちのけで“談合”し、逆立ちした税制「改革」を強行することを許すわけにはいきません。
 谷垣氏は消費税を「社会保障目的税に」とのべ、首相は「消費税について議論する場合には、社会保障との関連で議論をしていく」と答えました。これは大きなごまかしです。
 国民は消費税の使い道について、ぬぐえない疑問を持っています。それは、消費税の導入のときも増税のときも、いつも政府は国民に「社会保障の財源のため」と説明してきたのに、社会保障は負担増と給付減の連続だったからです。実際に、消費税の税収のほとんどは法人税の減収の穴埋めに消えていきました。1989年の導入以来の消費税収の累計は224兆円に上りますが、同じ時期に法人税(地方税を含む)は208兆円もの減収になっています。
 消費税増税を「社会保障目的」とうたって形の上で社会保障に使っているように装っても、浮いたお金を大企業減税の穴埋めに回せば社会保障の財源は増えません。全体のお金の出入りを見れば、「社会保障目的」ではなく「大企業減税目的」にほかなりません。

健全な経済循環に

 日本経済は、国民の所得と消費を立て直し、ものづくりや小売業・サービス業など産業の元気を取り戻す健全な経済循環を回復する課題に直面しています。それを回復してこそ、税収を増やして財政危機を打開する道も開けます。
 家計に大打撃を与える消費税増税に頼った二大政党の方針は、この課題を打ち砕く道です。
 人間らしい雇用のルール、大企業と中小企業の公正な取引のルールをつくるなど「ルールある経済社会」への転換で健全な経済循環を回復すると同時に、聖域扱いの軍事費、大企業・大資産家への行き過ぎた減税にメスを入れる財政の改革が切実に求められます。

語り合い、教育を築く力に

主張

教育研究全国集会

語り合い、教育を築く力に


 明日20日から3日間、和歌山市内で「教育のつどい」(教育研究全国集会2010=同実行委員会主催)がひらかれます。
 「つどい」では全国から約400本のリポートが発表されます。いずれも今日の子どもと教育の状況を切々と語っています。

子どもの現状を切々と

 ある中学校の教員は、教室で弱い子を攻撃していた生徒たちに「傷つけ合うのはやめて! みんな大切な子ども」と注意しました。すると「おれなんか大切じゃない」「うちで殴られている」「かわいくないんだ」―。悲しそうな顔をして何人もの生徒がつぶやき始めます。教師に不安を聞いてもらい、受けとめてもらった生徒たちは、翌日びっくりするほど素直だったといいます。
 貧困が家庭と子どもをどう追いつめているのか。各地のリポートであらためて考えさせられます。
 ある先生は、中学校の入学式の2日前、「じつは制服も上靴もない」と父親から電話を受けます。父親は派遣労働者で職を転々とし、相談できる人がおらず切羽詰まっていました。先生たちが手分けして、新品ではないけれど必要なものをそろえました。
 借金から逃れるため住民票を移せず、就学援助も保険証もありません。仕事が見つかったとき、父親は「笑う門には福来るですよ」とニコニコしながら言いました。しかし世界同時不況のあおりで再び失職、教員は“声なき声は現場にある”、そのことを伝えたいとリポートします。
 各地の報告では、学校、福祉、医療、地域などのネットワークで子どもを貧困から守るとりくみが力を発揮しています。全国にひろげたい方向です。
 ネットワークの力という点では日々の教育も同じです。いつもざわざわしている中学2年の学級。教室の中でけが人もでました。担任の教員は「自分ひとりでは、教師だけでは、無理だ」と校長のアドバイスも受け保護者懇談会を開きます。保護者は「先生がこんなつらい思いをしているとは」と驚きました。そして「子どもに話しかけても邪魔者扱いされる」など子育ての不安を語りあいました。
 そんな中で学級が変わっていきます。「多くの要因で子どもたちは成長する。大事なことは彼らをとりまくおとなが思いや願いを共有し、同じ方向を向き、かかわり育てること」と教員はふり返ります。
 別の学校では、夏休み前日に200人以上の親子が川原でバーベキュー大会を開き、そこからオヤジの会が生まれました。リポートは「楽しさは、どんな人も能動的に巻き込む」といいます。

子どもに必要なものを

 民主党政権になり公立高校の無償化などは進みましたが、過度の競争と管理の教育政策は変わっていません。それは子どもや教職員を競争にかりたて、教育の自由な雰囲気を奪い、「学校はサービス提供、保護者は顧客」と学校と保護者の間に溝をつくっています。
 この方向では子どもも保護者も教職員も苦しくなるばかりです。
 だからこそみんなで集まり、時には愚痴もいって考えてみたい。子どもと教育に本当に必要なものは何なのかを―。それが希望をうみ、新しい教育を築く力になります。そのためにも誘い合い、「教育のつどい」にでかけませんか。